3回に渡り、アフリカの国名の由来を見てきた。国の名前を糸口に、そこに住む人や自然に歴史、欧州の影響の一端を垣間見ることができたと思う。
データで見る国名の由来
川に由来する国名が多い印象があり、国名の由来を分類してみた。
- 民族/風習 20ヶ国
- 海 1ヶ国
- 川 8ヶ国
- 湖 2ヶ国
- 山 2ヶ国
- その他自然 6ヶ国
- 地名/エリア名 6ヶ国
- その他 8ヶ国
民族に関わる国名がダントツで多い。当然だが国は人で成り立っている。
自然に関係するものでは、やはり川由来の国名だ。
コンゴのように「”山々”という意味の川の名からとった国名」となると、山なのか川なのか分類に迷ったが、川に分類した。
川は国土を貫き、生きていく上で欠かせないのだろう。
現代の都市生活では川の重要性を実感することはほぼ無いが、川を中心に生きていた時代を想ってみるのも楽しい。
アフリカ大陸の外から来た人間、ヨーロッパ人が付けた国名も多く、主に「その他」に分類したがヨーロッパによる植民地の歴史はアフリカとは切り離せない。
気になる国名ベスト３
個人的に気になった国名を３つ挙げてみた。
3位：セネガル共和国：「我々のカヌー」
セネガル川に由来。セネガル川の名は地元の言葉で”船の通れる”という語から来ている。
船で漕ぎ回る生活なのだろう。川は大事だが、船が出せるかがもっと大事、そんな生活観を想像する。
2位：ソマリア連邦共和国：「ソマの国」
ソは「行く」、マレは「ミルク」を示し、牧畜生活を表すとされる。
こちらも生活の様子が伺える国名。牛とミルクで移動を続けながら生きていく人々の姿が見える。(モンゴル的な草原が頭に浮かんでいるが、多分違うだろう)
1位：ボツワナ共和国：「去った人々」
現地人の名称ツワナ／ベツワナから。「去った者たち」もしくは「分離した者たち」という意味がある。
寂しく、切ない気持ちがまとわりつく、とても気になる国名。
安住の地を求めて移動してきた自分たちを、もとの土地から「去った人々」と表現したのだろうか。
別れてきた友人たち、育った土地の風景、そういったものを捨てて新しい生活を求めてきた自分たち。この選択は正しかったのだろうか、あの土地に留まった人々はどうなったのだろうか。でも自分たちはここでやっていく。
そんなことを考えたのかは分からないが、つい物語を想像してしまう国名だ。
「アフリカ」の語源
南アフリカの国名でも記載したが、「アフリカ」という言葉の語源は、古代エジプト語の「良い」「美しい」という説がある。
ネガティブなイメージを持たれがちなアフリカだが、「美しい」大陸だという説はもっと知られても良いと思う。
「美しいアフリカ」。ステレオタイプなアフリカの印象に加わって欲しい。
ちなみに、各国の語源については様々な説があり、今回取り上げたものが必ずしも決定的な唯一の解ではないことをお断りしておく。
共和国が9割近い
最後に、アフリカの54ヶ国中47ヶ国、87％が共和国である。
世界全体で見ても共和国は多く、世界の約60%が共和国だ。
日本からすると馴染みの薄い共和国だが、それほど遠い存在の用語ではなく、要するに「君主制の対義であり、民主制とほぼ同義」で考えてよさそうだ。
『百科事典マイペディア』で共和国を調べると、次のよう定義されている。
「国を代表する象徴あるいは元首が，人民の中から一定の任期間選ばれる国家の体制。英語でrepublic、君主制の対。主権が人民にあることから民主制と同義語に用いられる場合があるが、実質的には独裁的統治が行われる場合も少なくない。多くの国が共和制の形態をとっている」
『百科事典マイペディア』
参考情報
“World map: the literal translation of country names”, creditcardcompare.com, March 21, 2018
https://www.creditcardcompare.com.au/blog/world-map-literal-translation-country-names/
“Research_The literal translation of country names”, creditcardcompare.comの上記ページより
https://docs.google.com/spreadsheets/d/12QSXFBOLaNS05EdRXE6FsyBO8Noj-pSkr8LD0yTg3z0/edit#gid=0
“世界と日本のデータを見る”, 外務省, March 29, 2019
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/world.html
“地域別インデックス（アフリカ）”, 外務省, June 6, 2019
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/africa.html
”共和制”, コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%88%B6-53144
“正式国名(地域名)・国際組織加盟一覧表”,海外情報サイト WORLDNAVI.NET,
http://www.worldnavi.net/static/country_region_list.html
プロフィール：Risa Shimowada
東京タワーの麓でアフリカとメンタルヘルスと色々のごちゃ混ぜカフェBlue Baobab Africa（ブルー バオバブ アフリカ）をやっています。アフリカや本、語学に興味があります。