コンゴ民主共和国で拡大しているエボラウイルス病(エボラ出血熱)は、子どもと女性の感染者が感染者全体のほとんどを占める。
世界保健機関(WHO)のまとめによれば、5月26日時点で女性と子ども(18歳未満)の感染者は全体の9割を超えている。
今回のエボラ流行による死者は同日時点で1,187人(WHO)に達した。
2014年〜16年に西アフリカで発生した大流行に次いで、過去2番目の規模となっている。
コンゴ民主共和国の保健省が2018年8月1日、ウガンダ、ルワンダと国境を接する北キブ州でエボラの発生を確認したと発表。以後、10カ月にわたり感染拡大が続いている。ただ、WHOが週ごとに公表している報告書は、感染拡大のペースが若干落ちたとも分析している。
感染者数は1,920例に
以下が、5月26日現在の感染者数や死亡者数のまとめだ。いずれもWHOによるもの。
感染者数(2019年5月26日現在)
感染が確認された事例:1,826例
疑い例:94例
合計:1,920例
死亡者数
エボラによる死亡と確認:1,187人
疑い例:94人
合計:1,281人
感染者の死亡率:67%
女性と子どもの感染
女性の感染者数:1,113人(58%)
18歳未満の子どもの感染者数:565人(29%)
マラリアが一因?
女性の感染者は全体の58%、18歳未満の子どもの感染者29%を占める。
女性と子どもに感染が拡大している理由ははっきりしない。ただ、「africa news」は、専門家のコメントとして、北キブ州でエボラウイルス病が確認された2018年夏には、発生地周辺で、蚊が媒介となるマラリアが流行したことが一因となった可能性を報じている。
2014年のアウトブレイク(大流行)では1万1千人が死亡
アメリカの疾病対策センター(CDC)によれば、2014年に西アフリカで発生したエボラの大流行では、ギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国で感染例が2万8,610例、そのうち死者が約4割の1万1,308人に達した。
今回、武力衝突が多発する国境地帯でエボラ感染が確認されたため、WHOや現地政府によるエボラを封じ込める対策を難しいものとしている。武装勢力による、医療従事者への攻撃も頻発している。
このまま、新たな感染者の減少につながるだろうか。引き続き、報告する。
冒頭の写真は、北キブ州の治療センターで、介護従事者が幼い子どもを抱いている。
Photo: World bank / Vincent Tremeau, taken in Beni, North Kivu region, Democratic Republic of Congo on January 17, 2019. Portrait of Kasomo Kavira, caregiver at the Ebola Treatment Center.