GDPでわかるサブサハラアフリカの国々

まだまだアフリカという一語でくくられてしまうことが多いが、地域や国それぞれが豊かな歴史や特徴を持つ。

今回はGDPという数字を通してサハラ砂漠以南のアフリカを見てみたい。

IMF(国際通貨基金)による2019年4月のサブサハラ アフリカのデータから地図に落とした。

名目GDP(USドルベース)を1ドル100円計算で日本円に換算した。

ナイジェリアと南アフリカは30兆円超え

まずはアフリカの経済大国と呼ばれる2か国だ。地図上は黄色の箇所。

1位:ナイジェリア=44兆円 (産油国)
2位:南アフリカ=37兆円 (資源国)

サブサハラアフリカ内での順位だ。

実質GDP成長率こそナイジェリア2.1%、南アフリカ1.2%と、他のサブサハラ地域に比べ低いが断トツの存在感である。

ナイジェリアは産油国であり石油への依存度が高いため、石油価格の低迷の影響を受けている。南アフリカも資源国である。

5兆ー10兆円規模はケニアやアンゴラ

次に、5兆から10兆円の5か国。地図はオレンジ色で示した。

3位:ケニア=9.9兆円
4位:アンゴラ=9.2兆円(産油国)
5位:エチオピア=9.1兆円
6位:ガーナ=6.8兆円(資源)
7位:タンザニア=6.1兆円(資源)

ケニア、エチオピア、タンザニアといった東アフリカ勢が強い。4位のアンゴラは南部アフリカの国で、日本での知名度は高くないが、ナイジェリアに次ぐ産油国である。

参考になるのは、東京都の予算規模だろうか。2019年1月25日付の産経新聞によれば、2019年度の当初予算案は7兆4610億円。東京五輪を控え、過去最大の予算規模だという。

6位のガーナは西アフリカの国だ。

2〜5兆円規模の7か国

地図上は黄緑色で示した7か国。東アフリカの内陸国と西・中部アフリカの沿岸国だ。かなり数字が小さくなってきた。

8位:コンゴ民主共和国=4.8兆円(資源国)
9位:コートジボワール=4.5兆円
10位:カメルーン=3.9兆円(産油国)
11位:ウガンダ=3.0兆円
12位:セネガル=2.5兆円
13位:ザンビア=2.5兆円(資源国)
14位:ジンバブエ=2.2兆円(資源国)

世界の状況は? 地を這うアフリカ

ここで、アフリカ以外の国々のGDPにも目を向けたい。

世界のGDPトップ3は次の通り。

1位:アメリカ=2,100兆円
2位:中国=1,400兆円
3位:日本=500兆円

1位から3位の間でも大きな差があるが、3位の日本とサブサハラ1位のナイジェリアも10倍以上の差がある。

下のグラフはIMFによるこの30年間の名目GDPの推移だ。

一番上の赤い線は、世界全体のGDPの推移。次の緑の線はアジア・太平洋地域。日本や経済成長が進むの東南アジアもここに含まれる。

そしてアフリカはというと、X軸かと見まちがえそうな、フラットな青線だ。世界規模で比較するとこの状態だ。

しかし希望はある。

サブサハラの実質GDP成長率は3.3%。世界全体の成長率3.3%と同じであり、将来的には世界の成長率を上回る予測だ。

実質GDP成長率のこのグラフは、上の緑線がアジア・太平洋地域。真ん中の青い線がサブサハラ アフリカ。赤線が世界全体である。

1兆〜2兆円規模と1兆円以下の国

再びアフリカに戻る。数字が小さくなると、どんぐりの背比べ状態だが、1兆から2兆円規模の14か国はこちら。地図上はピンク色で示した。

15位:ボツワナ=2.0兆円(資源国)
16位:マリ=1.8兆円(資源国)
17位:ガボン=1.7兆円 (産油国)
18位:モザンビーク=1.5兆円
19位:ブルキナファソ=1.5兆円(資源国)
20位:モーリシャス=1.5兆円
21位:ナミビア=1.4兆円(資源国)
22位:マダガスカル=1.3兆円
23位:ギニア=1.3兆円(資源国)
24位:赤道ギニア=1.2兆円(産油国)
25位:チャド=1.1兆円(産油国)
26位:ベナン=1.1兆円
27位:コンゴ共和国=1.1兆円(産油国)
28位:ルワンダ=1.0兆円

以下は1兆円を切る17か国。日本の上場企業の売上高のような数字になってくる。地図では白で示した。

29位:ニジェール=9,724億円 (資源国)
30位:エリトリア=7,718億円
31位:マラウイ=7,436億円
32位:トーゴ=5,592億円
33位:エスワティニ=4,662億円
34位:シエラレオネ=3,998億円(資源国)
35位:ブルンジ=3,573億円
36位:リベリア=3,221億円(資源国)
37位:南スーダン=3,151億円(産油国)
38位:レソト=2,811億円
39位:中央アフリカ=2,285億円(資源国)
40位:カーボベルデ=2,042億円
41位:ガンビア=1,741億円
42位:シーシェル=1,654億円
43位:ギニアビサウ=1,538億円
44位:コモロ連合=726億円
45位:サントメ・プリンシペ=477億円

ちなみに、日本企業の2018年売上高ランキングはこちら。

1位:トヨタ自動車=29兆円
2位:本田技研工業=15兆円
3位:日本郵政=12兆円
4位:日産自動車=11兆円
5位:日本電信電話=11兆円

金額規模の参考までに。

国土の大きさや人口の違いなど考慮に入れるべき要素は沢山あり、GDPは絶対的な良し悪しを判断する指標ではない。

国の経済規模の情報として、ビジネスの判断材料やアフリカ理解として、参考にして頂けたらと思う。

(注)記事内の「産油国は石油輸出国、(資源国)は石油以外の資源国を指す。いずれもIMFの分類を使用した。

プロフィール:Risa Shimowada
東京タワーの麓でアフリカとメンタルヘルスと色々のごちゃ混ぜカフェBlue Baobab Africa ブルー バオバブ アフリカをやっています。アフリカや本、語学に興味があります。

参考にした情報

IMF
https://www.imf.org/external/index.htm

サブサハラ各国のGDP,IMF
https://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2019/01/weodata/weorept.aspx?sy=2017&ey=2024&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&pr1.x=62&pr1.y=8&c=614%2C666%2C638%2C668%2C616%2C674%2C748%2C676%2C618%2C678%2C624%2C684%2C622%2C688%2C626%2C728%2C628%2C692%2C632%2C694%2C636%2C714%2C634%2C716%2C662%2C722%2C642%2C718%2C643%2C724%2C734%2C199%2C644%2C733%2C646%2C738%2C648%2C742%2C652%2C746%2C656%2C754%2C654%2C698%2C664&s=NGDPD&grp=0&a=

“World Economic Outlook (April 2019)”, IMF
https://www.imf.org/external/datamapper/datasets/WEO

“Sub-Saharan Africa Regional Economic Outlook: Recovery Amid Elevated Uncertainty”, IMF, 2019, April 12,
https://www.imf.org/en/Publications/REO/SSA/Issues/2019/04/01/sreo0419

用語情報, 総務省統計局, 2019年1月
https://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/sna.pdf

2018年 日本企業 売上高 ランキング, Stockclip
https://www.stockclip.net/markets/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BC%81%E6%A5%AD?column=revenue

産経新聞「五輪準備佳境で一般会計が過去最大の7兆4600億円 都予算案」(2019年1月25日)
https://www.sankei.com/politics/news/190125/plt1901250030-n1.html