フェイスブックがアフリカの地図をつくり直す理由

フェイスブックが、アフリカの地図を作り直す作業を進めている。

同社は4月9日に、これまでよりも、高解像度で高精度の人口密度を示す地図を公開した。

アフリカを含む途上国で災害が発生した際に、助けが必要な人たちに確実に支援を届けるには、地図情報が重要だが、とくにサブサハラ・アフリカでは、正確な地図の入手が難しい。

このため、フェイスブックのAIの研究チームが、機械学習、高解像度の衛星画像、人口データなどを組み合わせて作成したという。

アフリカ南部の村落を訪れると、多くの村人は、幹線道路沿いに家を建て、集落を形成している。

災害時には、村落の住民に対する支援がとくに重要になるが、幹線道路から離れたサバンナの奥に住む人たちもおり、把握が難しい。

市販されている地図も存在するが、奥地に行けば行くほど精度は低くなるうえ、政府が実施する国勢調査の人口データも信頼性は高くない。

フェイスブックが進めているのは、機械学習で、衛星画像から家屋の形を判別し、どこに人が住んでいるかを自動的に認識させる作業だ。

同社は、2016年から人口密度の地図をつくるプロジェクトを進めている。

もとは、アフリカを含む途上国の村落に住む人たちにも、インターネット回線を届けるのが目的だった。

2015年には、マーク・ザッカーバーグが、通信衛星を使って、サブサハラ・アフリカ地域の人たちにインターネットへのアクセスを提供する構想を示した。

同社はブログで、赤十字などと協力し、マラウィで同社がつくった地図を活用した事例を紹介している。

2016年と2017年、はしかの予防接種の啓発活動で、約3,000人のボランティアが、3日間で100,000万戸を訪問したという。同社は、AIを使って作成した高精度の地図があったため、短期間での活動ができたとしている。

村の家屋は、強風や大雨などで倒壊しやすく、村ごと移動してしまうことも多い。地図のメンテナンスも、なかなか手間がかかりそうだ。

(画像はいずれも、フェイスブックのAIブログからキャプチャした。)