ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が2019年9月4日〜10日の日程で、アフリカ3カ国を訪問している。
訪問先は、東アフリカのモザンビーク、マダガスカルとモーリシャス。気候変動によるぜい弱性を抱える国々を訪問するのが目的とされる。
バチカンの公式サイトによれば、フランシスコ法王は現地時間の4日午後、モザンビークの首都マプトに入り、同国のフェリペ・ニュシ大統領の歓迎を受けた。ニュシ大統領は、公式フェイスブックページに、「ようこそ！」と、法王への歓迎の意を示す短い投稿をアップしている。
1975年の独立まで、ポルトガルの植民地だったモザンビークは、カトリックの信者が多い。日本の外務省では、国民全体の40％がカトリックだと紹介されている。
一方で、21世紀に入って以降、モザンビーク北部でイスラム教が拡大した。この数年は、最北部のカーボ・デルガド州を中心に車両を狙った襲撃事件が多発しており、イスラム過激派の関与を指摘する見方もある。
3月にはサイクロン・イダイで同国中部で多数の死者が出たうえ、4月にはサイクロン・ケネスでも大きな被害が出た。モザンビークは現在も、サイクロンからの復興の途上にある。
バチカンの公式サイトによれば、フランシスコ法王は、マプトの大統領官邸でのスピーチで、サイクロンの被災者たちを励ました。
「わたしの最初の言葉として、サイクロン・イダイとケネスで被災した人々に、親密さと連帯の言葉を向けたいと思う」
同国は1997年から92年まで泥沼の内戦が続いた。92年に和平合意が署名されたのは、ローマだった。
法王は同じスピーチの中で、内戦後、和解に向けた努力が継続されてきたことに謝意も示している。
一方で、モザンビークのニュースサイト「カルタ・デ・モザンビーク」は9月4日付で、イスラム過激派を名乗るグループが、フランシスコ法王の訪問をボイコットするよう呼びかけていると報じた。
法王は、大統領官邸でのスピーチで、「平和」の大切さを繰り返し強調した。
反政府勢力やイスラム過激派と、モザンビーク政府の対立は、いつでも本格的な衝突に発展しうる不安定さを抱えている。
法王のスピーチの内容は、そんな情勢を案じてのものだったのだろうか。
参考にした資料
“Visita Papal: Maputo com locais mais seguros do mundo” ,Carta de Moçambique, September 4, 2019
https://cartamz.com/index.php/politica/item/2983-visita-papal-maputo-com-locais-mais-seguros-do-mundo
“Pope Offers Message of Peace to Fragile Mozambique During Visit”, Voice of America, September 4, 2019
https://www.voanews.com/africa/pope-offers-message-peace-fragile-mozambique-during-visit
“Pope Francis Arrives in Mozambique, With Renewed Focus on Poverty and Climate” The New York Times, September 4, 2019
https://www.nytimes.com/2019/09/04/world/africa/pope-francis-mozambique-madagascar-mauritius.html?auth=login-google&login=google
外務省『海外安全ホームページ』
https://www.anzen.mofa.go.jp/
外務省『モザンビーク共和国（Republic of Mozambique）
基礎データ』
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/mozambique/data.html#section1
“MEETING WITH THE AUTHORITIES, CIVIL SOCIETY AND THE DIPLOMATIC CORPS ADDRESS OF HIS HOLINESS, Ponta Vermelha Palace (Maputo)”, THE HOLY SEE, September 5, 2019
http://w2.vatican.va/content/francesco/en/events/event.dir.html/content/vaticanevents/en/2019/9/5/autorita-mozambico.html