世界銀行が6月4日、2019年の『世界経済見通し』を公表した。
世銀は2019年の世界全体の経済成長見通しを2.6%と予測。1月の時点では2.9%と予測していたが、下方修正した。「貿易摩擦の激化の恐れを筆頭に、経済見通しのリスクは引き続き下振れ方向に傾いている」と指摘している。
サブサハラ・アフリカ地域の、経済成長見通しは2.9%で、2018年の2.5%から上昇した。ただ、経済成長率の持ち直しは、以前の予測と比べて鈍化している。
世界経済見通しは、明るいとはいい難い内容ではあるが、そうした中でも、高度成長を謳歌している国があるのが、アフリカのおもしろさだ。
2019年の予測値で、経済成長率の高い国を並べてみると、エチオピアが一位で、ルワンダ、ガーナが続いた。
- エチオピア=7.9%
- ルワンダ=7.8%
- ガーナ=7.6%
- コートジボワール=7.4%
- セネガル=6.8%
- モーリタニア=6.7%
- ベニン=6.5%
- ニジェール=6.5%
- ウガンダ=6.1%
- ブルキナファソ=6.0%
エチオピアは人口が1億人を超え、ナイジェリアに次ぐアフリカの大国だ。世銀によれば、2016年までの10年間、平均で10%を上回る成長を遂げた。1億人を抱える内需や、コーヒーの輸出などが、高成長の原動力であるようだ。2025年までの中所得国入りを目指している。
ルワンダは、コーヒーや茶の高品質化で、国際競争力の向上を目指している。IT産業の振興にも力を入れている。
石油など目立った資源のない「非資源集約型」に位置づけられるエチオピア、ルワンダ、タンザニア、ウガンダについて、報告書は『力強い公共インフラ投資が続き、民間セクターの参加が増加することが、引き続き経済活動を支えるだろう」と指摘している。
一方で、サブサハラ・アフリカ地域では、多くの国が中国を主要な貿易相手国としているため、「米中貿易戦争」の激化は同地域に大きく影響しそうだ。
Photo: Factory workers producing fresh fruit drinks at Blue Skies, in Nsawan District, Ghana on October 13, 2015. © Dominic Chavez/World Bank